タイ通による、タイ情勢の解説
タイ情勢については、なんやらかんやら和歌山県です。何がどうなのか、日本のメディアからでは理解できない。
何でもありのタイ。クーデターは恒例のお祭りみたいで、最終的に国王が登場して、しゃんしゃんと手打ちという感じがしています。が、今回は分りづらい。
そんなとき、友人のドバシさんがメールを送ってくれました。彼は東南アジアを中心としたホテルのレップをしていて、アジア情勢には詳しい。彼の了解を得て、やつがれのブログに転載します。
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●タイでメシ食っています土橋です(←鯛茶漬けかな?)。僕としては、PAD(民主主義のための市民同盟)にかなり頭にきています。長引くと思ったら、やっぱりです。
今回のタイの騒動に関し、日本のメディアが正確な事情を十分に伝えないていないので、僕が知っている限りの情報をお皆様にお伝えします。
PADは、あたかも市民団体であるかのようにメディアは伝えていますが、実体はかなり違います。むしろ反民主主義の反市民団体です。外国人とタイの経済を人質にとるやり方は、テロそのものです。これを平然とやりきる民主主義の市民団体などあるわけがありません(←政治団体名を、いかにも民主主義団体のようにするのは昔からの常套手段です)。
彼らの背後は、旧保守勢力、旧伝統的なエリート層、タクシン政権時代の改革で長年持っていた利権を失った旧体質の企業と、利権の構造から甘い汁を吸っていたマフィアたちです。彼らには「公の利益」という言葉かありません。ですから、自分たちの失った利益を取り戻すためには、常識など必要がありません。
PADの政治的な主張は、「国会議員の7割を任命制、3割を選挙で選ぶ」、です。農民は正しい政治的判断が出来ないので選挙権を与えるべきではない、とも主張しています。これで皆さんわかるでしょ(←わかる、わかる)。
2006年PADは相当の金をつぎ込み、軍にクーデターを起こさせるのに成功しました。しかし、時代は旧体制が復活しても国を運営できないことが証明され、1年後、軍は政権を手放し総選挙で民意を問うた訳です。当然タクシン派の圧勝でした。
これでは大金をつぎ込んでせっかくタクシンを追い落とした旧体制派としては我慢が出来ません。彼らは力づくで再度クーデターが起きる状況を作り出そうとしました。それが首相府の占拠です。そして彼らは今「最後の闘い」を行っています。
彼らが言う「最後の闘い」の意味は、選挙をすると必ず負けるとわかっていますので、なんとしても混乱を引き起こしクーデターをもう一度やってもらおうとの魂胆です。そして憲法を改正し、自分たちの理想としての体制を作ろうとしています。夢よもう一度、です。
PADにとって誤算は、これだけの混乱を引き起こしたのに軍が動いてくれないことです。前回のクーデターで軍はPADのお先棒を担ぎ、大きな恥をかきましたので動きたくないのでしょう。軍にはむしろ選挙で民意を問えといわれてしまいましたが、PADとしては絶対飲めない提案です。
空港閉鎖以後にバンコクポール大学は、バンコク市民1080名に緊急のアンケートをとりましたが、70%以上がPADに反対しています。地方の大部分を占める農民はタクシン派を支持しています。
PADの支持者としてデモに参加している人達の多くは、日当500バーツと昼寝と食事付きで集めれられている祭りの好きな連中です。暴力でストレスを発散したいチンピラは率先して参加しています(←いわゆるガス抜きですわ)
今日、タイ憲法裁判所が与党に解党命令を出しましたが、これまたかなり政治的です。ほとんど何も審議せずにです。この判事たちはクーデター時に旧保守体制側の守護者として任命されていますから、この判決は当然ですね。選挙でタクシン派が圧勝したのに、タクシンが亡命せざるを得なかったのもこの憲法裁判所の判事たちがいるからです。
表向きのPADのリーダーのソンティは、以前タクシンの友達でしたが、成功者に対して逆恨みしているとしか思えない。彼を絶対にタイに戻したくない一心でPADのリーダーをやっているのだろう。もう一人の表向きのリーダーのチャムロンは、76年の「血の水曜日事件」の指揮官の一人です。
その後、彼は2度青年将校団としてクーデターを起こしましたが、2度とも失敗しています。今まで悪いことばかりしてきたので出家し、92年のクーデターでは市民側に付きましたが、やっぱり根は悪者です。
今年の8月から首相府を占拠し連日1-2万人の食費を出し続けられるのは、市民団体では無理です。資金源は利権を失った古い体質の華僑企業です。タクシン側も勿論多くの華僑企業がいますが、タイの経済は世界の中の歯車の一つとして活動していることを理解している企業です。
前回のクーデターでPAD側が軍を表に立てて政権を実質運営しましたが、愚策と無策でバーツ高を引き起こしタイ経済に打撃を与えてしまいました。時代は彼らを必要としなくなっているのです。PADに反対する人はその事を理解しています。空港閉鎖による経済的な損失や国家としての信用の失墜は、アナクロニズムのPADには理解できないことだし、理解する必要の無いことです。
4日には国王が何らかの判断を行うと思いますが、旧伝統的エリート層とは日本でいう華族ですので、身内を庇うことになるのか、それとも21世紀に相応しいタイを考えるのか、彼の判断を待ちたいと思います。
●追伸
PADの空港からの撤退でホット一息です。国王の誕生日12月5日の為の一時休戦です。PADにしても、次期政権がタクシン派であることは充分認識しています。
おそらく、疲れたから、闘争資金が不足してきたから、国王からネガティブにいわれるとこの先続けられない、非難が多すぎた、軍が乗ってこない、などの理由で、見かねた憲法裁の助けによって上げた拳を下ろせた、のが実情でしょう。
与党への憲法裁の解党命令が出ても、下院はタクシン派が多数派ですから、野党から首相を出し、野党による内閣はできません。出来たとしても全く機能しません。PADが納得する政府が出来る可能性は極めて低いです。
そうすると、彼らは再度何らかの行動に出るでしょう。その時、これまでおとなしくしていた反PAD側、それこそ本当の市民が怒りの行動に出るのではと思います。
暫らくはタイの政治から目が離せません。
↑タイはすべて国王の裁定待ちの国。今、キングは将棋の名人戦のような長考に入っているんでしょうね。
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Comments
なんど地に足がついた解説ですね。
せけど、日本のテレビの報道とは違う感じですね。
日本では、あの、黄色の集団はなんどヒーローみたいな感じで取り上げられた~たデ。
プミポン国王もそれとなく支持しやるような感じでヨ。
ありゃ、なんない?
日本のマスコミはどうもオカシイ! ドバシさん情報をアタマに入れておきたいと思います。
Posted by: C坊 | December 05, 2008 at 09:42 PM
C坊さん
そうなんや、日本のマスコミの報道を見ていても、いまいちタイ情勢がわからなかった。
けどドバシさんの僕へのメールで納得がいきました。これから、このようなメールをどんどこ載せていくつもりです。もちろん本人の承諾を取ってね。
Posted by: ごう | December 10, 2008 at 07:15 PM