いい日、晩春、川流れ
先日、仲間のSカメラマンから「東上線の森林公園の郊外に、案内したいところがあるんだけどさ.,食事するところなんだけど、ちょっとほかとは違う雰囲気で・・・」という電話をもらった。「女将さんもユニークで、話が面白く芸術家肌の人で・・・」
彼とはアラビア半島のオマーンへ4度、カナダ、南イタリア、熊野古道、佐渡、高知よさこい祭りを一緒に取材した仲間だ。久しぶりの再会で、同行はオマーン政府観光局のO女史。僕は地元の食材を使った小料理屋か蕎麦屋かと推測した。
Sカメラによると、彼のお嬢さんが小学生のときに担任をしてくれた先生が引退して、会員制の小料理屋をやっているという。「いやあ、ほんとうに心が落ち着く場所なんだよね。絶対気に入ると思うよ」
案内されて、まずその風景のすばらしさに感動した。目の前に林があり鶯が鳴き、ひよどりが空中ダイブをしているのが見える。そして右奥に都幾川の流れ。遠くに秩父の山並みが望める。ずっと見ていても飽きない風景だ。鳥の鳴き声以外何も聞こえない。
鶯の真っ只中を川流れ
川に影目覚める大人の遠足です
風光るご飯も光り埼玉産
春の鳥空中ダイブ茶柱も
ひよどりの垂直降下晴舞台
都幾川よ今こそ光れ巣立鳥
「やって来る鳥の数は40種ですね。ウグイス、オールリ、カワセミ、シラサギ、ウソ、コジュケイ、キジなど見ていて飽きませんよ。川原に狐が水を飲みに来るのも見たことがあります」と語るのは元教員の女将のあけみさん。沖縄の血が入っている方で、エキゾチックな美人だ。教師時代の手塚治虫さんとの出会いなど、面白すぎる話はあるが今回はカット。いただいた名刺を見ると「着物のリメイク、紙芝居おばさん」の肩書きが。
ここは、もともとある企業家の別荘だったところ。自分の空間がほしいと探していたところ、まったく偶然にこの場所を見つけたという。そこを教員夫婦が購入し、ごく親しい人だけに食事を提供することを始めた。この写真のすぐ後ろに、別棟の2階建ての部屋があり、ここは浅井長政ゆかりの建物を移築したという。すぐ近くの畑で採れたオーガーニック素材を中心に心のこもった、シンプルな料理に舌鼓。おいしい料理をいただき、おもしろい話に、時間を忘れた1日だった。
女将さんはガンで3ヶ月の余命といわれていたそうだが、ここに来て完治し、医者が驚いたそうだ。風景は人を治療するということを実感した。
僕は、この風景を見て、老子の次の言葉を思い出した。
寒さは熱狂すれば直る
熱狂に勝つのは静けさなのさ
実に清清しい静けさだけが
この世の狂いを直すものだよ (訳・加島祥造)
酒に酔い、話に酔い、人に酔う。
Life is good.



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